千葉県最新入試動向 高校無償化による変化
千葉県で公立高校を第一志望にする生徒の割合が、この10年余りで10ポイント以上下がっているのをご存じでしょうか。今回は、公立離れの実態と、その背景にある「高校無償化」の制度変更、そして私立側・公立側それぞれで起きている変化について整理します。
公立第一志望は約79%→約67%に
千葉県が毎年1月に行う進路希望調査では、公立高校を第一志望とする生徒の割合が、2010年前後には約79%でした。それが年々下がり続け、直近の調査では約67%まで低下しています。
逆に、私立高校を第一志望とする生徒は増え続けています。2017年前後には18%程度だった私立第一志望の割合は、直近では28%近くに達しました。クラスの4人に1人は私立が本命という時代になりつつあります。
最大の要因は「高校無償化」の2段階拡充
この変化のいちばん大きな引き金が、国の高等学校等就学支援金制度、いわゆる高校無償化の拡充です。ポイントは、拡充が2段階で進んだことです。
- 2025年度(令和7年度):それまで「世帯年収約910万円未満」だった所得制限が撤廃され、収入にかかわらず全世帯に年間118,800円(公立の授業料相当)が支給されるように。
- 2026年度(令和8年度):2026年3月31日に改正法が成立し、私立高校向けの加算についても所得制限が撤廃。支給上限が従来の396,000円から457,200円(全国の私立平均授業料水準)に引き上げられました。
「私立は学費が高いから」と最初から選択肢に入れていなかったご家庭にとって、授業料の壁が大きく下がったことになります。
公立離れは千葉だけではない――東京・埼玉も同じ動き
この動きは千葉県だけの現象ではありません。
- 東京都:都立高校(全日制)の志望率は2017年度の71.15%をピークに下がり続け、2026年度は57.64%に。都立入試の実質倍率1.26倍は、現行制度が始まった1994年度以降で過去最低でした。
- 埼玉県:2026年度の公立高校(全日制)の志願倍率は1.04倍まで下がり、こちらも過去最低水準。報道でも「公立離れの進行が鮮明」と分析されています。
つまり、無償化による私立志向は首都圏全体で同時に起きている構造的な変化であるといえます。
一方で私立では「値上げ」が進んでいる
「私立が実質無償になるなら安心」と思いたくなりますが、注意点があります。無償化拡充と歩調を合わせるように、私立側の学費値上げが進んでいるのです。
千葉県の発表によると、2026年度の県内私立高校の初年度納付金(入学金+授業料+施設費等の合計)は平均832,631円で、前年度から47,277円(6.0%)の増。54校のうち38校が値上げしました。
就学支援金がカバーするのはあくまで授業料部分です。入学金や施設費、制服・教材費などは対象外のため、志望校ごとに、支援金を差し引いた実質負担額を確認しておくことが大切です。
公立側も定員削減で対応――「選び方」が変わる
私立に生徒が流れた結果、公立側では定員割れが広がっています。千葉県の2026年度入試では、定員に受験者が届かなかった学校が64校102学科にのぼり、県は18校で計21学級・840人分の募集定員を削減しました。
ここで見落とせないのが人気の二極化です。県立船橋や東葛飾のような人気校は今も2倍近い高倍率を維持する一方で、定員割れが常態化した学校は統合・再編の対象になりつつあり、学校ごとに状況がまったく違う時代になっています。
まとめ
高校無償化による支援金の対象は授業料のみで、私立では値上げが進んでいます。
志望校選びでは、(1) 就学支援金を差し引いた実質負担額、(2) 通学時間や校風などお金以外の条件、(3) 公立人気校の倍率動向――の3点を並べて比較することをおすすめします。

